メガヒヨの生息日記

メガヒヨ(観劇、旅行、鳥好き)のささいな日常

メガヒヨ in NY2017 その12《PACIFIC OVERTURES編》

2018年06月30日 | NEWYORK

最後を飾るのは、日系人俳優George Takeiさん主演のPacific Overture。


ユニオンスクエア近くにある、オフの劇場。
ロビーはコーヒーショップと一体となっており、なかなか見つけにくい場所。


扉を開けると表からは想像できない広々とした空間の劇場が。
GWだし日本人が多いかな~と思っていたけれど、会場のお客さんのほとんどは白人の方々。

日本では『太平洋序曲』として名高いこの作品。
幕末の黒船来航のエピソードが、ジョン万次郎、老中阿部正弘といった実在の人物も交えて語られる。
とは言え、John Weidman氏が70年代に書いた脚本。日本人の立場からすると突っ込みどころ満載。
でも別の視点で考えると、そんな前によくここまで日本のことを調べたものだと感心もする。

The Reciter...George Takei
Kayama...Steven Eng
Tamate...Megan Masako Haley
Madam...Ann Harda
Manjiro...Orville Mendoza
Fisherman...Karl Josef Co
Boy...Austin Ku
Warrior...Kelvin Moon Loh
Thief...Marc Oka
Lord Abe...Thom Sesma

George Takeiさんをはじめとして、キャストはみなアジア系。
セットは上記の写真の様に至ってシンプル。衣装は黒っぽい私服のような格好の上に帯状の布を重ねている。
これで着物や裃を表現している。観客のイマジネーションを誘う演出。
バンドは9人体制。中には和楽器も。演奏しているのは白人の方だった。

以前に観た宮本亜門氏演出版とは違い、この度は休憩なしの一幕もの。
上演時間も短く、将軍の母のシーンが無かった。これはまったく問題なし。
あのシーンはかなり国辱的な感じがするから(笑)

もちろんカヤマと万次郎の歌う♪Poem、重唱の美しい♪Someone in a treeは健在。
少数精鋭でソンドハイム独自の複雑なハーモニーを聴かせてくれた。

フランス大使、置屋のマダムなどなど様々な役を演じたAnn Haradaさん。
前回『Cinderella』ではお休みだったので、今回拝見できて嬉しかった。
『Seussical』、『AvenueQ』の頃から変わらず輝いているこの方。
舞台に立つと独特の躍動感で観客を自分のペースに巻き込んでいる。次回また拝見できる時が楽しみ!! 


Georgeさんはさすがスターの貫禄。オーラが違うというか。
用意していた端午の節句のカードをお渡しし、一生懸命英語で話そうとしたら日本語でOKとのこと。
当時まだ日本での公開未定だった『Allegiance』を観たいと訴えた自分に対し、「今その計画が進行中ですよ。」ととても優しくおっしゃって下さった。
この『Pacific Overture』に関し、「英語だから難しかったでしょう」とまで気遣っていただいたりして。
たいへん穏やかで素敵な紳士でいらっしゃった。
さらにハグまでしていただき、幸せこの上なし。

<後日談>


その後、『Allegiance』は日本で公開されて、メガヒヨはもちろん観に行ったよ。


Georgeさんの舞台挨拶付きの上映。
そこで色々興味深い話を伺えた。
Georgeさんの目標は、東京オリンピックを機会として、日本中の人たちに『Allegiance(アリージャンス)』を見てもらうこと。
確かに自分もこのミュージカルを見るまで、日系人収容について関心を寄せることがほとんど無かった。学校でも習わなかった世代だし。
上映全国キャラバンのクラウドファンディングは残念ながら不調に終わってしまったけれど、今後一人でも多くの人がこの作品を観ることができますようにと願うのであった。